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お知らせ

子どもの生活に「絵本」を取り入れる。できるだけ自然に、できるだけ自由に。

当スクールでは、英語の絵本を積極的にレッスンに採用しています。英語習得の上での有用性はもちろんですが、それ以上に絵本そのものが持つパワーを子どもの想像力や読解力の育成に活用したいという意図があります。

今回は、スクールのスタッフでもあり子供教育に詳しいYukiko先生が、絵本の魅力と有効な取り入れ方について教えてくれます。

子どもに無理強いせず、できるだけ自然なかたちで「絵本のある生活」を作ってあげるにはどうしたら良いのでしょうか。


絵本は、すべての世代で楽しむことができる魔法のアイテムです。

なにより異なる世代の人々が同時に楽しめることが最高の魅力です。

親しむ

私たちの周りにはたくさんの、そして様々な読み物があります。絵本もその一つです。書店や図書館など本のある場所には無数の絵本があります。ぜひ手にとって見てください。その絵本は重いですか?硬いですか?つるつるしてますか?手に馴染む感じがするとページを開きたくなります。絵が好き。色が好き。作者のことを知っている。どこかで見たことがある。流行っている。手に取る理由はなんでもいいのです。気になるものはまず触れてみてください。

選ぶ

子どもが読む絵本ならば子ども自身が選ぶことが興味の第一歩です。

2歳くらいの女の子がお母さんと一緒に書店の絵本コーナーにいました。お母さんは女の子が以前から興味をもっていたライオンが出てくる絵本を購入する予定にしていたようでした。書店員さんにもその絵本の在庫を確認してもらい手にとって見ていました。ところが女の子は別の絵本を持っていました。ライオンの絵本には首を振るばかりです。お母さんが女の子に話しかける様子から推察すると、ライオンの絵本はお友だちが持っていて見せてもらったことがあるようでした。お母さんは何度もライオンの絵本を購入するかどうか女の子に尋ねましたが女の子の答えは変わりません。お母さんはその日は何も買わずに帰ったようでした。

子どもの中には子どもの時間が流れています。大人にもそれぞれ自分の時間が流れているように。今気になるもの、面白いと感じるものはその時間の流れの中で移ろいます。選ぶという行為には迷いが含まれます。迷うことも選ぶ楽しさの一つですので十分に迷いたい、迷うべきなのです。許される限りたっぷりと時間をかけて子どもと話しながら迷いながら選ぶといいでしょう。その1冊は選んだ時の思い出と一緒に大切な宝物になることでしょう。

1冊ずつ選んで購入または借りることをお勧めします。毎回1冊選ぶという迷いを経ての決断と次回への期待や書店または図書館等へ行く回数が増えることも楽しさを膨らませます。また一緒にいる人それぞれが1冊選ぶことも良いでしょう。子どもに合わせるのではなくその人自身が読みたいと思う絵本を選びます。もし同じ絵本が気に入ったのならそれぞれ1冊ずつ持ちます。自分だけの絵本には特別な思いが生まれるものです。

置く

絵本は決まった場所に保管します。同じ家に住む全員が手の届く場所に置いておきます。いつでも誰でも手に取れることで、絵本への親しみと大切にする気持ちがうまれます。絵本を読み終えた後、片付けることが苦手な人がいるかもしれません。幼い頃は片付ける前に別の遊びを始めてしまうこともあるでしょう。そんな時は気づいた人が決められた場所へ絵本を戻します。読んだ人が必ず片付ける必要はありません。絵本がいつも同じ場所にあることが大事なのです。片付け忘れてしまう人も次に絵本を読みたくなった時いつもの場所にそれがあることで読むことを続けられるしいずれその人もその場所へ戻すようになっていくものです。

購入と借り出し

どちらでも構いません。

読む人の興味をひく絵本が読めるのならば入手方法に甲乙はありません。読みたいと思ったときの一番入手しやすい方法で求めれば良いと考えています。

購入すれば長い期間手元にあるので、最初に読みたかった人が読み終えた後に他の人へ貸し出したり、年齢を重ねてゆく間に何度も読んだりすることができます。

図書館等で借り出した場合は他の人も借りるものだということを理解し、絵本の扱い方をより考えることでしょう。また自分の手元にある限られた期間にどれだけ楽しめるかと絵本への思いを深めることもあるでしょう。

気になった絵本を気になっている時になるべく早い方法で入手することが大事です。

なお借りる際には返却期限を守りましょう。施設によっては再貸出や貸出延長の制度がありますので決まった期間以上に借りたい場合は貸出してくださるところに相談しましょう。

見る

表紙をみるとワクワクします。ここからどんな世界が広がっているんだろうと期待が膨らみます。もちろんそのまま読み始めてもいいと思います。時には絵だけを追ってページをめくって見るのもお勧めです。

表紙や裏表紙にはたくさんのメッセージが詰まっています。登場人物や物語の背景のヒント、全体のイメージを伺わせる色調、結末を予感させる何かなどを見つけたり感じたりするとすぐ読み始めたいような、もう少し想像していたいような気分になります。子どもと気づきを伝え合うことで新しい発見もあるでしょう。

文字は読まずに最後のページまで絵だけをみていくのも面白い読み方です。絵の中の何か一つに注目して追っていくとそれが色や形を変えたり途中で消えたりまた出てきたりするかもしれません。次々と増えていく展開もあるかもしれません。

ページを進めたり戻ったり、表紙と裏表紙をひっくり返したりしながら絵本が手の中にある時間がどんどん増えていきます。読む前に子どもが絵だけを見てその子自身でお話を作ったならなんて素敵なことでしょう。

絵本の絵はじっくりたっぷり楽しみたいものです。

読む

いよいよ読みます。ぜひ声に出して読みましょう。目だけでなく口も耳も使って楽しみたいのです。

子どもが文字を読むことがまだ難しい時期は、一緒にいる人が声を出して読みます。読む時はぜひ子どもを膝に抱える姿勢で読みましょう。子どもにとってはまるで自分が読んでいるように感じるくらいの体勢が理想でしょう。この一体感が安心となり穏やかな気持ちで絵本と向き合うことができるのです。また視野が限定されることで絵本への集中もしやすくなるのだと思います。

子どもが声を出して読むようになったら一緒に声を合わせてもいいでしょう。静かに聞いていてもいいでしょう。子どもの絵本への集中が続くように見守ります。

子どもの年齢や関心により読んでいる時の子どもの思いには違いがあると思います。一文字ずつ正しく読むことが楽しい時もありますし、登場人物になりきっている時もあるでしょう。しかし自分の内側に入っていく心持ちになっていることは確かです。その子自身の世界が存分に広がるような環境を保つことが大事です。

子どもが読んで欲しいと絵本を持ってきたら都合のつく限りその場で読みたいものです。どうしても難しい場合はいつなら読めるのかを具体的に伝えて必ずその時に読みます。子どもは絵本を持っていった人に読んで欲しいと思っているので別の人に読んでもらうことは避けるべきだと考えます。

本は読み物です。なので絵本も何度も何度も読むのです。読むたびに新たなことが起こります。もちろん書かれている文字が変わることはないのでストーリーは同じです。しかし私の体験では一度たりともこれまでと全く同じだったということはありません。全体を通しての感想をはじめ、登場人物の特徴や感情、背景や道具やセリフ、大きな印象から細かい一文字まで新たなことはさまざまですが必ず何かこれまでとは違うことがあります。最初に好きだなと思った作品は積極的にもう一度読むことができるのでそういった作品から繰り返し読む楽しさを感じられると思います。気に入らない作品も何度か読むことでなぜ気に入らないのかその理由を把握することができ自分の好みを理解することにつながるでしょう。好きなもの嫌いなものをその理由とともに自覚することは大事なことです。

取り入れる

読むだけではもったいないと思わせてくれるのが絵本です。

絵本を選んでから手にして見て読んで想像もしてたっぷり楽しませてくれた絵本ですがさらに楽しめる展開が待っています。

繰り返し読んでいると文章を覚えてしまいます。それはふと独り言をつぶやくように言葉となります。会話の多いお話では意図的に覚えて親子でまたはお友達と掛け合い遊びをするのも楽しいですね。

主人公を別の人やものに変えて自分なりのお話を作るのも面白いです。

絵を真似て描くことが好きな子どもも多いです。絵のない場面を描いてみたり絵の中に子ども自身や周りの人々を描いたりすることで想像の世界が広がります。

登場人物と同じような行動をしてみると心が踊ります。例えばお出かけの時に絵本と同じ色の傘を持ってみたり、着替えの時は絵本と同じ掛け声をかけてみたりしたらどんなに楽しいでしょう。

それを子どもやお友達と一緒にしたら自分一人の思いに誰かとの思い出が加わりその絵本がもっと愛おしくなります。

こんなに絵本を好きになってしまったらもう幸せとしか言い表せません。

最後に

私には今は探し出せないけどどこかにある大好きな絵本があります。幼児期によく読んでいた本です。いつでも見れる、読める環境ではないけれど心の中にいつもあります。その絵本を思い出すたびにふっと息がもれます。安らぐというのでしょうか。リセットされる感覚があります。私は「大好きな絵本がある」ということが自分を信じる力の一つになっていると感じています。

読む人の数だけ楽しみ方がある魔法のアイテム、絵本を楽しみましょう。

B!

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